クロミッドについて
クロミッドとは
クロミッドは、排卵誘発剤という薬の一種です。
排卵誘発剤は、名前の通り排卵を誘発するために卵巣を刺激する薬です。
不妊治療を受けている人だけでなく、妊娠の成功率を上げるためにも使われます。
病院でよく処方され、最も一般的な排卵誘発剤といえるものです。
同じような薬には、セロフェン、フェミロン、クロミフェンなどがあります。
クロミッドもこれらの排卵誘発剤も、主成分はクロミフェンです。
効果はほとんど同じですが、会社によって名前と多少の成分が違います。
クロミッドの服用方法
排卵誘発剤には、飲み薬と注射薬の2種類あります。
クロミッドは、飲み薬タイプです。
1日の摂取量は、50〜100mgで、錠剤だと1〜3個となります。
医師の判断によって、効果が薄い場合などに量を増やすことがあります。
生理の3〜5日目に飲み始め、5日間続けて服用します。
薬の効果は、約1週間で現れ、排卵をします。
クロミッドの効果
女性ホルモンのはたらき
クロミッドのはたらきによって、女性ホルモンに作用します。
排卵や妊娠など、女性の生殖機能において女性ホルモンがとても重要な役割を果たします。
女性ホルモンには、さまざまな種類があります。
排卵は脳にある視床下部という部分を起点にしています。
視床下部から性腺刺激ホルモン放出ホルモンが放出されます。
この性腺刺激ホルモン放出ホルモンが、視床下部の近くにある下垂体という部分に作用します。
下垂体からは、卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体化ホルモン(LH)という2つのホルモンが出されます。
この2つのホルモンが卵巣を刺激すると、次に卵胞ホルモン(エストロゲン)や黄体ホルモン(プロゲステロン)を出します。
排卵は、エストロゲンやプロゲステロンのはたらきによって起きます。
クロミッドの作用
クロミッドは、エストロゲンが不足しているように作用します。
脳はエストロゲンが足りていないと勘違いするため、起点の視床下部から性腺刺激ホルモン放出ホルモンを放出して、結果的に排卵を促進します。
クロミッドの副作用
クロミッドの副作用は少ないことで知られています。
しかし、まったく副作用がないわけではありません。
どのような症状があるのか、見ていきましょう。
表に出てくる症状
人によって症状はさまざまで、まったく出ないという人もいます。
以下によくある症状を挙げてます。
- 目のかすみ
- 発疹
- 吐き気や嘔吐、食欲不振
- 頭痛、腹痛
- 顔の紅潮やほてり、口の渇き、尿が増える、疲労感
- 情緒不安定によるイライラや気分の浮き沈み
妊娠に関する副作用
クロミッドの副作用で特に注意しなければいけないのが、妊娠に関する副作用です。
妊娠をするために飲んでいる薬が、不妊を引き起こす原因となっているのでは元も子もありません。
卵巣過剰刺激症候群(OHSS)
卵巣を刺激しすぎて起こる病気です。
可能性はかなり低いですが、下腹部に痛みがある場合は医師に相談しましょう。
重症化すると、合併症を発症し入院となることもあります。
頚管粘液の分泌量の低下
頚管粘液は、精子が卵子を目指して泳いでいく時に必要です。
子宮の入り口で頚管粘液が出されることによって泳げますが、頚管粘液が減って泳げなくなってしまいます。
子宮内膜の減少
子宮内膜が減少する場合、着床がしにくくなります。
子宮内まで来た受精卵が、少ない子宮内膜だとうまく着床できないのです。
そうなってしまうと、妊娠しにくい状態となってしまいます。
多胎妊娠
クロミッドを使う場合、排卵の数が増えることがあります。
そのため、双子などの多胎妊娠になる可能性が少し上がります。
自然妊娠で双子の確率が1%なのに対して、クロミッドを使うと5%になります。
多胎妊娠は、母体へのさまざまなリスクが上がってしまいます。
まとめ
排卵誘発剤のクロミッドを使うと、排卵を促して妊娠の可能性を上げてくれます。
副作用は少ないですが、まったくないわけではありません。
特に注意が必要なのが、不妊につながってしまう副作用です。
異変を感じた時は、すぐに医師に相談するようにしましょう。