不妊漢方薬とは
漢方薬には、約2000年の歴史があります。
発祥の地は中国です。
原材料は、植物の根、葉、花、皮、動物、鉱物などからなります。
処方される人の症状にあわせて、効果的と考えられる成分を含有する生薬を配合します。
生薬を小さく刻み、煎じて飲むのが一般的な方法です。
不妊に対する漢方療法と西洋療法の違い
不妊漢方療法の基本的な考え方は、人間が本来持っている正常な機能を取り戻させることにあります。
西洋学に基づく治療と比較すると、よりナチュラルな治療法といえます。
例えば無排卵症状を抱える女性に対し、西洋医療では排卵に効果的なホルモンを直接投与し排卵を促します。
同じような症状に対し、不妊漢方療法では血や気の流れを良くすることによって体質の改善を通して、結果的に排卵が通常通り起こるようなコンディションに整えます。
不妊漢方療法の基本アプローチ
人を大きく「虚証」と「実証」の2タイプに分けて考えます
虚証タイプの特徴
瘦せ型
疲れやすい
胃腸が弱い
下痢しがち
実証タイプの特徴
筋肉質
血色が良い
胃腸が強い
仮に血行が悪いといった同じような症状を抱えていたとしても、「虚証」タイプの人と「実証」タイプの人では別々の漢方薬を処方されます。
症状を診断する際のセオリー
漢方療法では、「気」、「血」、「水」と3つの大きな概念で症状を診断します。
気
元気、やる気といった目には見えないエネルギーを指します。
自律神経に近い概念になります。
血
栄養を全身に運んでいる血液を指します。
水
免疫や代謝と関わりのある血液以外の体液です。
人体は「気」、「血」、「水」の3つの要素が体の中を正常にめぐることによって、健康が維持されると考えられています。
不妊漢方療法では、体質などによって分けられる2タイプの「証」と、診断セオリーとなる「気」、「血」、「水」の状態を見て問題箇所を探り、問題に応じた漢方薬を処方します。
不妊漢方療法で妊娠しやすい体を作る
妊娠しやすい体づくりの基本は、血流を良くすることにあります。
血液の流れが悪いと、子宮や卵巣に重要なホルモンや栄養が行き渡らなくなり、妊娠を遠ざけます。
具体的には、月経不順、不正出血、子宮筋腫、子宮内膜症といった問題を引き起こします。
漢方の服用によって、血流が良くなることが期待でき、結果として妊娠しやすい状態を作れます。
漢方の効果を実感できるまでの期間は?
人間の血液や細胞が作り変えられるサイクルは、およそ3-6ヶ月とされています。
漢方療法は体質改善を狙うものになるので、血液、細胞が入れ替わっていくのと同じように徐々に徐々に効果が現れてきます。
風邪薬のようにすぐには効くものではありません。
不妊漢方療法って費用はどれぐらいかかるの?
保険が適用される漢方エキス剤であれば、1ヶ月分で1500-4000円ほどになります。
保険が適用されない煎じ薬となると、1万円前後と高額になってきますが、個人にあわせて調合されることもありより高い効果が期待できます。
漢方薬に副作用はないって本当?
不妊漢方薬は、草の根や葉といった自然の製薬なので副作用が起こりにくいことで有名です。
ただし、胃腸の弱い人では、胃もたれ、吐き気、胸やけ、下痢といった症状を引き起こす可能性もあります。
漢方は一般的に食前での服用となるのですが、このような症状のある人は食後の服用に切り替えることで症状が緩和されることもあります。
不妊漢方療法を受けるにあたっての注意点
不妊漢方療法によって体の本来のコンディションを取り戻し、妊娠に至る可能性を高めることは十分に可能です。
ただし、一点注意する必要があるのは、漢方でも絶対に治せない不妊症状があることです。
例えば子宮の中にポリープがあり、そのポリープが原因で着床できず妊娠に至らないケースがあります。
このようなケースでは、漢方療法ではポリープを取り除けないため西洋医療による治療を受ける必要があります。
不妊期間の長い人は、一度専門病院で不妊検査を受けて原因の特定をするようにしましょう。
まとめ
不妊漢方療法は副作用が出にくいこともあり、比較的気軽に取り組める不妊治療となります。
不妊に関わらず、血行を良くし体のコンディションを整えておくことは健康にとって非常に重要なことですので、不妊かな?と気になっている方は積極的に検討されてみると良いでしょう。