排卵誘発剤で不妊を解決!?排卵誘発剤の効果とリスク[決定版]

不妊治療に排卵誘発剤が用いられる機会が増えてきています。
排卵誘発剤の使用による効果、副作用リスク、みなさんが気になるポイントをまとめました。

排卵誘発剤とは?

排卵誘発剤とは、読んで字のごとく排卵を促す薬です。
主に生理がこない、または生理はくるものの排卵していないことが原因で不妊に悩まされている人に使用されます。

排卵の仕組み

排卵なくして自然に妊娠することはありえません。
排卵は、健康な女性であれば1生理周期において1個排卵されます。
排卵される卵子は1個だけなのですが、排卵候補の卵子は毎生理周期において毎回1000個前後体内にて育てられていることは意外に知られていません。
1000個前後の排卵候補の卵子の素の中から、最も優れた卵子の素が主席卵胞と呼ばれ成熟し排卵されるのです。主席卵胞以外の卵子の素は体内に吸収されなくなります。


女性は産まれながらに100万〜200万個の卵子の素を持っています。
この卵子の素は産まれてから増えることはなく減っていく一方です。
卵子の素が体内からなくなると生理がこなくなり閉経となります。


妊娠の基本プロセスは、排卵された卵子が精子と出会い受精卵となります。
受精卵が子宮までに移動し着床となると妊娠が成立します。
妊娠の基本的なプロセスの最初の1歩となる排卵機能に問題がある人に排卵を促す薬が排卵誘発剤なのです。
一方で排卵が正常に起きている人でも、排卵される卵子の数を増やして妊娠の可能性を上げるために排卵誘発剤を使用することもあります。
または体外受精、顕微受精を行う際に一度にたくさんの卵子を採取することを目的とし排卵誘発剤が用いられることもあります。

排卵は左右の卵巣から交互に起きる?

健康な女性であれば、1生理周期に1個の排卵が起きます。
排卵される卵子の素は卵巣で作られ、その数は1000個前後となり選ばれし1個だけが排卵されます。
卵巣が二つあることから、排卵される1個の卵子は左右交互に選ばれるという話がありますがこれは事実ではありません。
あくまで、最も妊娠に至る可能性が高いとされる卵子が選ばれるだけで必ず左右交互になるものではありません。
手術で片方の卵巣を摘出している人が、一回おきにしか排卵しないのではないかと不安がられたりしますが、卵巣が片方しかなくとも正常に機能しているのであればその片方の卵巣から毎回排卵されますので心配する必要はありません。

排卵誘発剤の使用に踏み切るタイミング

不妊治療専門病院では、最初にまずは不妊の原因を突き止めるために検査を行うことが一般的です。
検査の結果、不妊の原因が排卵機能にあると疑われた際に、排卵誘発剤の使用を検討します。
実際に排卵誘発剤を使用し始めるタイミングは、治療を受ける女性の状態、病院の方針によっても異なります。
女性の年齢、不妊期間、排卵状態を重要な判断材料に、使用のタイミングが決められます。
女性が高齢であったり、不妊の期間が長いということであれば、早いタイミングで排卵誘発剤が使用されます。
逆に女性が若く、かつ数ヶ月程度の不妊、加えて排卵が全く起こらないという訳でなければ、すぐに排卵誘発剤を使うというよりは少し様子を見たりします。

排卵誘発剤にはどのような種類があるの?

排卵誘発剤には様々なものがありますが、代表的なものとなると以下の5つが挙げられます。

セキソビット

セキソビットは、排卵と密接な関係にある卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)の分泌を促進させることで卵胞を成熟させ排卵を起こしやすくします。
排卵誘発剤の中でも、弱めの薬であることから副作用の心配もほとんどありませんが、一方で効果も控えめと言わざるをえません。
排卵機能に大きな問題がない人に対して、より安定的に排卵が起こるよう補助的な意味合いで使われることの多い薬です。

クロミッド

排卵が起きていない女性に推奨される最も有名な排卵誘発剤です。
クロミッドの薬の作用はセキソビットと同様、卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)の分泌を促すことで、卵胞を成熟させ排卵を起こします。
セキソビットとの違いは、クロミッドの方がより強い薬となるため、高い効果が期待できる反面、副作用が出てしまう可能性も高くなります。

テルグリド

排卵機能の問題が、プロラクチンの値が高すぎることにあるとされた際に使用される薬です。
テルグリドを内服することによって、プロラクチンの値を下げることで正常な排卵を促すことができます。

hMG注射

セキソビット、クロミッド、テルグリドは内服薬と成りますがhMG注射はホルモン注射となります。
卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)が配合されたホルモンが注射によって直接体内に投与されることから高い効果が期待できます。
hMG注射単体として投与されることもあれば、クロミッドなどの効果をさらに引き出すために複合的に使われることもあります。

hCG注射

排卵そのものを促す効果のある注射です。
クロミッドやhMG注射によって卵胞を成熟させた上で、確実に排卵を促すべくhCG注射を打ちます。
hCG注射を打つことで、排卵を促す黄体ホルモンと同様の働きが期待できるため高い可能性で排卵を引き起こすことができます。

排卵誘発剤の使用によって妊娠率は上がるの?

排卵誘発剤を正しく用いることによって妊娠の可能性を高めることができます。

排卵される卵子の数が増える

通常1回の生理周期において1個しか排卵されない卵子の数が、排卵誘発剤の使用によって2個~3個に増えることによって妊娠の確率が高まります。

排卵日の予測精度が上がる

専門医のアドバイスを参考に、高い精度で排卵日の予測ができることから妊娠の確率を高めることが可能です。

排卵誘発剤の副作用

排卵誘発剤の副作用として有名なものは以下の3つです。

卵巣過剰刺激症候群(OHSS)

発生することは非常に稀な症状ですが、クロミッドの服用により大量の排卵が行われた結果として卵巣が腫れてしまう症状です。
卵巣の腫れによって、お腹の下の方に強い痛みを感じます。

多胎妊娠

排卵誘発剤の使用によって、双子、または三つ子の妊娠率が大幅に高まります。
通常の自然妊娠では、双子が生まれる確率はおよそ1%とされていますが、クロミッドを使用した際には、その確率はおよそ5%、hMG注射となると驚きの20%となり自然妊娠と比べると大幅に双子、またが三つ子が誕生する可能性が高くなります。
積極的に排卵を誘発することによって、通常は1生理周期に1つしか排卵されない卵子が2個〜3個排卵された際に同時に受精、着床することによって双子、あるいは三つ子を妊娠することになります。

体調不良

排卵誘発剤の使用によりホルモンバランスが乱れます。
ホルモンバランスの変化は、頭痛、腹痛、情緒不安定など様々な体調の変化をもたらします。
排卵誘発剤の使用後、体調面に変化を感じた人は、速やかにかかりつけの病院の先生に相談しましょう。

排卵誘発剤ってどこで売ってるの?いくらくらい?

排卵誘発剤は、専門的な病院で処方されるものです。
基本的には、保険適用となるためクロミッドなどの服用タイプの薬であれば1ヶ月あたり500円程度で購入することができます。
注射となると、病院によっても費用体系は異なりますが目安としては、1回あたり500円〜1500円程度の費用が発生します。

排卵のタイミングを推測する際のポイント

せっかく排卵誘発剤を使用して排卵を促せたとしても、肝心の排卵日前後にセックスができないと妊娠には至りません。
排卵誘発剤を使用した際には、排卵日をしっかり予測をした上でセックスを行うように心がけましょう。

まとめ

不妊の原因の多くを占める排卵障害ですが、排卵誘発剤の使用によって妊娠の可能性を大きく高めることが可能になってきました。
副作用リスクがあることは否定できませんが、専門医の助言に従って適した薬を適量処方することで高い確率で排卵を促すことができます。
専門医の助言をしっかり参考にし、パートナーとも相談した上で排卵誘発剤の使用を検討してみるのもいいでしょう。