体外受精の妊娠率をあげる秘訣!気になる妊娠率、費用[まとめ]

不妊治療は日々進化し続けています。
今では、新生児の約2%は体外受精によって生まれてきているようです。
この記事では、体外受精の妊娠率をあげるためのポイントや、気になる費用について丁寧にまとめました。

体外受精とは?

体外受精とは、体の外で卵子と精子を受精させたあとで、受精卵を体内に戻して妊娠を試みる方法です。
自然妊娠では、排卵された卵子に射精された精子が飛び込むことで受精卵となります。
受精卵が子宮内で着床して順調に成長すると妊娠に至ります。
体外受精では、卵子と精子を体外に取り出してからだの外で受精させます。
からだの外で受精卵の段階まで進めてしまうことから体外受精と言われます。

体外受精の成功率はどれくらい?

体外受精による妊娠確率はタイミング指導の約8倍、人工授精の約4倍との報告があり非常に高い妊娠率が期待できます。
高い妊娠率となる理由は、排卵、受精、受精卵の子宮への移動というプロセスを体外でおこなってしまえることにあります。

体外受精の成功率は約30%〜40%と言われていますが、女性の年齢によって成功率も大きく異なります。
女性の年齢が35才以下のケースでは成功率は約40%程度となりますが、40才を超えると約10%程度となってしまいます。
女性の年齢が上がるにつれて卵子が老化してしまうことは避けることができません。
卵子の老化によって妊娠率は低下してしまいます。

体外受精の成功率は高められる?

体外受精の成功率を高めるために以下のようなポイントを抑えておくと良いでしょう。

病院選び

体外受精の成功率を高めるために非常に重要な選択となります。
体外受精治療実績数の多い病院、成功率の高い病院を選びましょう。
体外受精を専門的に扱っている病院では実績をホームページ上で公開していたりします。
仮に公開されていなかったとしても病院に直接問い合わせたり、インターネット上の口コミなどから情報をしっかり集めましょう。

体を冷やさない

妊娠には、様々な女性ホルモンがしかるべきタイミングでしかるべき仕事をしなければなりません。
体を冷やしてしまうと、血流が悪くなってしまいます。ホルモンは血流に乗って運ばれるため冷えによって妊娠に必要なホルモンの働きが阻害されてしまうリスクがあります。
体外受精では、体外で受精が行われるとはいえ、卵子を採取するまでの卵胞の成熟や、受精卵を体内に戻した後に着床しやすい子宮環境を作る上でもホルモンの働きが重要なのです。

十分な睡眠をとる

人間の体内には、夜暗くなってくるとメラトニンというホルモンが分泌され睡眠を促します。
このメラトニンというホルモンには卵子の老化を食い止める働きがあるという研究結果があります。
メラトニンの分泌量は深夜0時から2時の間にピークとなります。
メラトニンは明るい部屋などでは分泌が抑制されてしまうため、深夜0時までには部屋を暗くして睡眠がしっかり取れるような習慣をつけることで卵子の老化を食い止めることができ、結果として妊娠率を高められます。

体外受精の費用はどれくらい?

保険が適用されないこともあり、体外受精を受ける際には数十万円の費用が発生します。
金額は各病院によって異なりますが、相場としては30万〜50万円程度の費用となることが多いようです。
安ければ良いというものでは決してないので、パートナーとしっかり話し合い信頼のおける病院を見つけましょう。

体外受精を行う際に国からの補助金が使えるって本当?

少子化対策のいっかんとして、「特定不妊治療費助成事業」という仕組みがあります。
各自治体ごとに、支給条件、金額が異なってきますので居住地の役所のホームページを確認してみると良いでしょう。

体外受精を受けるまでの流れ

不妊治療では、不妊の原因によって様々な治療が適用されます。
体外受精を受けるまでの流れは大きく2つのパターンに分かれます。

不妊の原因が特定できていて自然妊娠が難しいとされるケース
不妊検査を受けた結果、自然に妊娠することが難しいと判断される人がいます。
例えば、卵管に癒着が見られ受精卵が卵管を移動できないような症状を抱えられている人がいます。
このような人は、自然妊娠が難しいとされ卵管を必要としない体外受精による不妊治療が効果的です。

不妊の原因が特定できないまま不妊治療の期間が長くなってしまっているケース
不妊の原因がはっきりわかっていない段階では、なるべく自然妊娠に近い形で妊娠の可能性を追求していきます。
一般的には、まずはしっかり排卵日でセックスできるように努める、タイミング指導から治療を開始します。
タイミング指導を受けたにも関わらず、妊娠できないとなると人工授精へとステップアップを促されます。
人工授精では、男性の精液をあらかじめ採取しておき、しかるべきタイミングでカテーテルを用いて女性の子宮内へ精子を注入する方法です。
人工授精を行ったにも関わらず妊娠に至らないとなると、さらにステップアップとなり体外受精が促されます。

体外受精の進め方

Step1:排卵抑制剤の使用

月経前に次の排卵の時期をコントロールする必要があるため、スプレキュアという薬を鼻から注入します。
排卵を促す作用のある黄体化ホルモンの働きを抑えます。

Step2:排卵誘発剤の注射

月経3日目あたりから、たくさんの卵子を作るために卵巣を刺激する作用のある卵胞刺激ホルモン(FSH)を注射します。
月経周期12日目あたりに、卵胞がしっかり成長していることを確認できたら排卵を促す薬を注射します。

Step3:卵子の採取

Step2にて排卵誘発剤を使用した24時間〜36時間後を目安とし成熟した卵胞が破裂してしまう前に採卵を行います。
採卵の際は、採卵針を膣から挿入し一つ一つ卵胞を丁寧に吸引します。
採卵は10分ほどで終わります。麻酔を使用することもあり痛みはほとんど感じません。

Step4:精子の採取

病院内に設けられている所定の場所で、マスターベーションを行い指定の容器の中に射精します。
射精された精液は遠心分離器にかけられ元気な精子だけを選別します。
体外受精日当日に、男性が来院できない場合は事前に精子を採取の上、冷凍保存しておくことも出来ます。

Step5:受精

採取された卵子が入っているシャーレの中に、精子を入れ受精を待ちます。
卵子の中を精子が取り囲み、一つの精子が中に入ると受精となり受精卵ができます。

Step6:培養

受精卵が5日〜6日をかけ細胞分裂を繰り返して胚盤胞に成長するのを待ちます。

Step7:胚移植

胚盤胞の段階まで育った受精卵を子宮の中に戻します。

Step8:着床

子宮の中に戻された受精卵は数日でうまくいくと、子宮内膜に潜り込み着床となります。

Step9:妊娠判定

胚移植をおこなってから約2週間後に尿検査、または血液検査を行い妊娠有無の判定をします。

質の良い受精卵が複数育った場合は冷凍できる?

質の高い受精卵が複数育った場合は、そのうち一つを子宮に戻し、残りを冷凍保存しておくことができます。冷凍保存された受精卵は次回体外受精を行うさいに活用できます。

生まれてくる赤ちゃんの安全性に影響はないの?

体外受精は歴史の浅い治療法となりますので、出産後、長期視点での問題有無に関しては不明な点も残されていると言わざるをえません。
先天異常や染色体異常の割合については通常の妊娠と大きく変わらないと報告されています。

まとめ

費用は数十万円と高額になりますが、高い妊娠率が期待できます。
今日では、新生児の2%近くは体外受精で生まれてきていますので決して珍しい治療法ではなくなってきています。
自然妊娠の難しいカップルは、パートナー、専門医と納得のいくまでしっかり話し合いをおこなうことを前提に体外受精を検討されてみると良いでしょう。