顕微受精とは?気になる妊娠確率と費用について

不妊治療では、多様な治療法が存在します。
その中でも、妊娠率が高いことで有名な顕微受精の具体的な治療の進め方、気になる妊娠率と費用について分かりやすくまとめました。

顕微受精とは?

顕微受精は、卵子と精子を一度体外に取り出し、ピペットを使って精子を卵子に注入し受精卵として成長させます。成長した受精卵を女性の子宮に戻し妊娠を試みる治療法を顕微受精と言います。

顕微受精と体外受精はどう違うの?

体外受精とほぼ同様の治療となりますが、異なる点は、体外受精では卵子と精子を培養液に入れて自然に受精するのを待ちますが、顕微受精では、人の手を介しピペットで直接精子を卵子に注入します。

顕微受精の進め方

体外受精とほぼ同じ進め方になります。

Step1:排卵抑制剤の使用

月経前に次の排卵の時期をコントロールする必要があるため、スプレキュアという薬を鼻から注入します。
排卵を促す作用のある黄体化ホルモンの働きを抑えます。

Step2:排卵誘発剤の注射

月経3日目あたりから、たくさんの卵子を作るために卵巣を刺激する作用のある卵胞刺激ホルモン(FSH)を注射します。
月経周期12日目あたりに、卵胞がしっかり成長していることを確認できたら排卵を促す薬を注射します。

Step3:卵子の採取

Step2にて排卵誘発剤を使用した24時間〜36時間後を目安とし成熟した卵胞が破裂してしまう前に採卵を行います。
採卵の際は、採卵針を膣から挿入し、一つ一つ卵胞を丁寧に吸引します。
採卵は10分ほどで終わります。
麻酔を使用することもあり痛みはほとんど感じません。

Step4:精子の採取

病院内の所定の場所で、男性がマスターベーションを行い指定の容器の中に射精します。
射精された精液は遠心分離器にかけられ元気な精子だけを選別します。
体外受精日当日に、男性が来院できない場合は事前に精子を採取の上、冷凍保存しておくことも出来ます。

Step5:受精

採取された精子の中から特に形がよく元気のある精子を1個選定し、ピペットを使って卵子の中に注入します。

Step6:培養

受精した受精卵が5日〜6日をかけ細胞分裂を繰り返して胚盤胞に成長するのを待ちます。

Step7:胚移植

胚盤胞の段階まで育った受精卵を子宮の中に戻します。

Step8:着床

子宮の中に戻された受精卵は数日でうまくいくと子宮内膜に潜り込み着床となります。

Step9:妊娠判定

胚移植をおこなってから約2週間後に尿検査、または血液検査により妊娠の判定を行います。

顕微受精が適用されるケースとは?

顕微受精が推奨されるような人は以下の症状に当てはまる人となります。

  • タイミング指導、人工授精(AIH)、体外受精を経て、それでも妊娠に至らない
  • 精子の濃度がとても低い
  • 精子の運動率がとても低い
  • 精子の奇形率がとても高い
  • 精液の中に精子がいない(無精子症)
  • 精子が卵子に入れない(受精障害)

精液の中に精子がいなくても顕微受精だと可能性がある?

仮に男性の精液内に精子がいなかったとしても、精巣中に精子がいる可能性があります。
精巣中に精子が見つかれば、その精子を取り出し顕微受精に用いることができます。

顕微受精の妊娠確率は?

顕微受精の成功率は、体外受精とほぼ同等とされており約30%〜40%とされています。
ただし、女性の年齢によってその成功率も大きく変動します。
女性の年齢が35才以下の場合、成功率は40%程度です。
40才を超えてくると約10%程度まで落ち込んでしまいます。
顕微受精の妊娠確率はタイミング指導と比較すると約8倍、人工授精との比較では約4倍とされており、とても高い妊娠率となっています。
妊娠率が高くなる背景は、排卵、受精、受精卵の子宮への移動といった妊娠に必要な多くのプロセスを体外にて確実に行えることによります。

顕微受精の費用はどれくらい?

顕微受精は保険適用外となります。
顕微受精を受けるには数十万円の費用が必要となります。

顕微受精後、体に変化はあるの?

個人差はありますが、以下のような症状を感じる人もいます。

  • 体温が若干高くなる
  • 胸が張る
  • お腹が張る
  • おしっこの回数、量が減る
  • 胃に痛みを感じる
  • 息苦しい

顕微受精後、運動してもいいの?

特別高い負荷がかかるような運動でなければ問題なしとされています。
ただし、体を冷やすことはよくないとされてますので水泳等は控えるようにしましょう。

まとめ

医療の発展により、従来では妊娠が不可能とされていた人でも顕微受精によって妊娠が可能となるケースも増えてきました。
一方で顕微受精は非常に高額ですし、治療にかかる負担は肉体的にも精神的にも大きなものとなります。
パートナーとしっかり話し合いを重ね、顕微受精を受けると決めたのであれば、病院選びは妥協することなくしっかり情報収集をしなければなりません。