プロラクチンのはたらき
プロラクチンというホルモン
プロラクチンとは、妊娠のメカニズムにおいてはたらくホルモンのことです。
プロラクチンは、脳にある下垂体の前葉から分泌されます。
乳腺を刺激して乳汁を作る作用があるので、乳腺刺激ホルモンともいわれています。
特に、出産後に多く分泌されて、産後の女性の機能にはたらきかけます。
プロラクチンの主なはたらき
プロラクチンの主なはたらきは3つあります。
1つ目は、先程述べた通り女性の妊娠において乳腺を刺激することです。
出産後には、乳汁を産生・分泌を促します。
2つ目は、出産後に大きくなった子宮を収縮させて元の状態に戻します。
できるだけ早く普通の状態になるようにはたらきかけるのです。
3つ目は、出産を終えた後すぐに妊娠することを避けるために、排卵を抑制する作用があります。
出産によって、女性の体には大きな負荷がかかった直後のため、排卵を抑制して妊娠しないようにしています。
また、赤ちゃんの面倒を見る必要もあり、女性の体は妊娠しにくくなります。
高プロラクチン血症について
プロラクチンの血中濃度が基準値を超えている場合、高プロラクチン血症と診断されます。
プロラクチンは、排卵を抑制するので、妊娠しにくい状態になってしまいます。
男性においても、ED(勃起不全)や性欲の減退を招いて不妊に陥ってしまうこともあります。
高プロラクチン血症の原因による分類
高プロラクチン血症の原因は、大きく3つに分けられます。
機能性高プロラクチン血症
根本的な原因がわからないことが多い場合です。
ストレスや不規則な生活などによって、ホルモンバランスが崩れたため、高プロラクチン血症になってしまったと予想されます。
甲状腺機能の低下によっても起こることがわかっています。
薬剤性高プロラクチン血症
ドーパミンを抑える作用のある薬を服用して、プロラクチンの増加が起きてしまう場合です。
具体的には、睡眠薬、胃薬、精神安定剤(精神疾患の薬)を使っている場合などに起こります。
腫瘍性高プロラクチン血症
プロラクチンを分泌している下垂体に腫瘍ができてしまう場合です。
下垂体には、さまざまな腫瘍ができることがあります。
ある腫瘍は、下垂体のようなはたらきをして、プロラクチンを過剰産生してしまうことが起きます。
他にも、別の作用がある腫瘍もあります。
高プロラクチン血症の治療方法
高プロラクチン血症の治療については、原因がわかっている場合は対処していく必要があります。
機能性高プロラクチン血症
ブロモクリプチンの薬を使うのが一般的です。
商品名が、パーロデル、テルロンなどです。
プロラクチンを抑える効果があります。
薬剤性高プロラクチン血症
高プロラクチン血症を引き起こしている薬をやめることができないかを検討します。
やめることが難しい場合、機能性高プロラクチン血症と同じ薬によって症状を緩和させます。
腫瘍性高プロラクチン血症
腫瘍が原因になっているので、取り除くことを試みます。
薬を使う方法、摘出手術、放射線療法などがあります。
まとめ
妊娠した後にプロラクチンが増えることには問題がありません。
しかし、妊娠を望む人にとっては、大きな障害となってしまいます。
高プロラクチン血症は、大きく3つに分類されます。
それぞれにおいて、効果的な治療があります。
プロラクチンを抑える薬には、ブロモクリプチンがあり、高プロラクチン血症ではよく使われます。
腫瘍がある場合、手術が必要になることもあります。
医師とよく相談して、適切に対応していきましょう。