不妊の最大原因とも言われる排卵障害ってどんな症状?治療法は?

数ある不妊原因の中でも、もっとも一般的であり多くの人が悩まされている排卵障害。
排卵障害の症状、治療方法についてまとめました。

排卵障害とは?

疑問 女性

排卵障害とは、簡単に説明すると排卵が起こらない状態を指します。
排卵が起こらないということは、そもそも卵子と精子が出会うチャンスがないため、自然に妊娠することは起こりえません。

排卵障害はすべての不妊原因中の約15%を占めるとされています。
不妊の原因の約半数は男性側にあるわけですが、女性側の不妊の約40%は排卵障害であると報告されています。
あなたが、不妊に悩まされているということであれば排卵障害の可能性を疑ってみるのも良いでしょう。

排卵障害は4つのタイプに分けられる

タイプ1:視床下部・下垂体性による排卵障害

症状

視床下部・下垂体性から排卵に必要となるホルモンが十分に分泌されないことによって、排卵が起きにくくなる症状です。
視床下部・下垂体性からは本来、卵胞を発育させるFSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体化ホルモン)が分泌されています。

過度なダイエットなどによる体重減少などによって、生理がおこならなくなるのもこのタイプの排卵障害となります。

治療方法

以下、排卵誘発剤を活用することで排卵を促します。

飲み薬
・クロミフェン
・セキソビット

注射
・HMG
・FSH

ホルモン検査の特徴

視床下部・下垂体性による排卵障害に当てはまる方のホルモン検査結果には下記のような特徴があります。
LH:低値
FSH:低値
PRL:正常
AMH:正常

タイプ2:高プロラクチン血症による排卵障害

症状

プロラクチンというホルモンの値が高くなると、排卵が起こりにくくなります。
プロラクチンとは、母乳を分泌するホルモンの1種となります。
本来、このプロラクチンは授乳中に次の妊娠が起こらないようにするためのホルモンとなっています。
授乳中でないにも関わらず、プロラクチンが高くなってしまう原因としてよく知られているのは、脳下垂体にできる腫瘍によるものです。
脳下垂体にプロラクチンを分泌する腫瘍ができてしまうことによって、排卵が起こりにくくなるのです。

また、胃潰瘍や精神神経科の薬を服用することによってプロラクチンの値が高くなってしまうこともありますので、薬を服用している方は、きちんと事前に医師にその旨を伝えておきましょう。

治療方法

カバサール、テルロンといった薬を使って、プロラクチンの値を下げることを通して排卵機能の回復を目指します。

ホルモン検査の特徴

高プロラクチン血症による排卵障害に当てはまる方のホルモン検査結果には、下記のような特徴があります。
LH:正常
FSH:正常
PRL:高値
AMH:正常

タイプ3:多嚢胞性卵巣症候群による排卵障害

症状

多嚢胞性卵巣症候群、難しい漢字ですね。
たのうほうせいらんそうしょうこうぐんと読みます。


卵巣の中に、嚢胞(のうほう)と呼ばれる小さな袋のようなものが沢山見られてしまう症状を指します。
片側の卵巣に10個以上嚢胞が見られるケースにて、多嚢胞性卵巣症候群と診断されます。
多嚢胞性卵巣症候群になると、排卵が正常に行われなくなります。


多嚢胞性卵巣症候群にかかっている人の特徴として
・ひげが生える
・すね毛が多くなる
・肥満
といったものがあげられます。
生殖年齢にあたる女性の実に約10%もの人が、多嚢胞性卵巣症候群にかかっていると言われています。

治療方法

残念ながら治療によって、自然に毎月排卵が起こるようにはなりません。
排卵誘発剤、糖尿病治療薬を使って、その都度排卵を促す形となります。
多嚢胞性卵巣症候群はインスリンの代謝異常と深い関係があり、糖尿病の薬を服用することで排卵しやすくなるとも言われてます。

上述したような薬を使用したにも関わらず排卵が起こらないケースでは、腹腔鏡手術を行い、レーザーなどで卵巣の表面に穴をあけることによって排卵を促す「卵巣多孔術」といった処置もあります。

ホルモン検査の特徴

多嚢胞性卵巣症候群による排卵障害に当てはまる方のホルモン検査結果には下記のような特徴があります。
LH:高値
FSH:正常
PRL:正常
AMH:高値
テストステロン:高値

タイプ4:早発卵巣不全による排卵障害

症状

一般的に女性の閉経は40歳前後であるとされています。
閉経を迎えていないにも関わらず、40歳を前にして卵巣の中の卵子がほとんどなくなってしまう状態を早発卵巣不全と言います。

早発卵巣不全は、ホルモン云々の問題ではなく、そもそも排卵する卵子がない状態を指しており、妊娠につなげるのは非常に困難であると言わざるをえません。

治療方法

エストロゲン、プロゲステロンを定期的に服用するカウフマン療法を行うことによって、ごく稀に排卵を起こせるケースがあります。

ホルモン検査の特徴

早発卵巣不全による排卵障害に当てはまる方のホルモン検査結果には下記のような特徴があります。
LH:高値
FSH:高値
PRL:正常
AMH:低値

まとめ

女性不妊の実に40%を占めると言われている排卵障害ですが、適切な治療を受けることによって多くのケースでは排卵を促すことができます。
まずは、病院で検査を行い排卵が問題なく行われているのか、仮に行われていないとしたら4つのタイプのうちのどのタイプの排卵障害に自分が該当するのかを確認し、適切な治療を受けましょう。