高プロラクチン血症とは?
高プロラクチン血症とは、プロラクチンというホルモンの分泌量が過剰に多くなることで、生理不順や不妊を引き起こすことをいいます。
プロラクチンは、脳下垂体から分泌され母乳を出すのを助ける一方で、排卵を抑制する働きがあります。
排卵を抑制するのは、授乳期に新たなる妊娠を防ぐことにあります。
子育ては非常に労力が大きく次々に妊娠してしまっては、母親として自分の身を滅ぼしかねません。
出産直後は、プロラクチンの働きによって生まれた赤ちゃんに十分な栄養が供給できるよう母乳が出て、すぐに次の赤ちゃんを妊娠しないよう排卵が抑制されるというわけです。
母親の体は、本当に神秘的です。
高プロラクチン血症が不妊の原因になりえる?
高プロラクチン血症となると、月経不順、無排卵月経を引き起こしてしまう可能性があり結果として不妊の原因となりえます。
プロラクチンの分泌量が多くなることで、排卵が発生しないとなると、射精された精子は卵子と出会うチャンスがなく妊娠には至りません。
妊娠の可能性を高めるためには、毎回の月経サイクルにおいていかに安定的に正常な排卵を起こせるかが鍵を握っています。
高プロラクチン血症の症状
高プロラクチン血症の代表的な症状としては、以下のようなものがあります。
無月経
生理がこない状態。
稀初月経
生理がくるにはくるが、年に数回程度しかこない状態。
無排卵月経
生理はくるものの、排卵が起こらない状態。
このようなケースでは、月経サイクルにおいて本来体温が高くなる期間でも体温が上がることはなく、基礎体温の推移は平坦なものになります。
毎月生理がきているからといって安心することなく、しっかりと基礎体温表をつけるように習慣づけましょう。
母乳が出る
過去に出産経験がある人であれば、プロラクチンが正常値であったとしても母乳が出る可能性はあります。
一方で、母乳に血液が混ざっていたり、母乳でない分泌物が出てきている場合はしっかり病院で一度見てもらう必要があります。
頭痛、視力異常
高プロラクチン血症が引き起こされる原因として有名なものに、脳下垂体における腫瘍が挙げられます。
プロラクチンは脳下垂体から分泌されるわけですが、こちらに腫瘍ができたことがきっかけで高プロラクチン血症となることがあります。
脳下垂体に腫瘍ができることによって高プロラクチン血症となると、激しい頭痛に悩まされたり、視界が狭くなったりめまいがしたりします。
不妊症
生理がこなかったり、生理がきたとしても排卵されなかったりすることで不妊症となります。
習慣性流産
高プロラクチン血症の人の多くは黄体機能不全を併発しているケースが多く見られます。
高プロラクチン血症による流産というよりは、黄体機能不全によって子宮を妊娠に適した状態に維持できないことから流産を引き起こしてしまうと考えられています。
高プロラクチン血症の検査方法
血液検査を行い、血中のプロラクチンの値を確認します。
授乳期以外のプロラクチンの正常な血中濃度は15ng/ml以下とされており、この値より高くなっていると高プロラクチン血症の疑いがあります。
高プロラクチン血症の原因と治療法
高プロラクチン血症の代表的な原因には以下のようなものが挙げられます。
原因1:薬の長期的な服用による高プロラクチン血症
ピル・胃腸薬・抗うつ剤を長期的に服用していると、ホルモンバランスが乱れてしまい高プロラクチン血症を誘発することがあります。
治療法
このようなケースでは、薬を処方してくれている医師と相談し服用する量を減らしたり別の影響の少ない薬への変更を確認すると良いでしょう。
場合によっては、一時的に薬の服用を停止される人もいます。
原因2:脳下垂体にできた腫瘍による高プロラクチン血症
プロラクチンの分泌元である脳下垂体に腫瘍ができることによって高プロラクチン血症となることがあります。
脳下垂体に腫瘍ができたことによって高プロラクチン血症となると、激しい頭痛やめまいを感じることがあります。
頭のレントゲンやMRI検査を行い腫瘍の有無を確認します。
治療法
直接的な原因である腫瘍を手術によって取り除くことが可能です。
手術に抵抗のある人は、薬の投与、または放射線療法によって腫瘍を小さくします。薬の投与、放射線療法に関しては、効果を発揮するまでに時間を要することから妊娠を急いでいる人にはオススメできません。
また、投薬や放射線治療は副作用が出る人もいます。そのような人は、副作用のでにくい漢方によって症状の緩和を試みると良いでしょう。
原因3:体の冷えからくる高プロラクチン血症
冷え性の人は、血流が悪くなりホルモンバランスが乱れやすくなります。
ホルモンバランスの乱れが高プロラクチン血症を発症することがあります。
治療法
・早寝早起き、規則ただしい生活を心がける
・体を冷やす食べ物に気をつける、体を温める食べ物を積極的に摂取する
・体が冷えたり、体を締め付けて血流を悪くするような服装は着ない
・適度な運動
・半身浴
原因4:過度なストレスによる高プロラクチン血症
プロラクチンに影響しうる薬の服用がなく、脳下垂体にも腫瘍がないとなると疑われるのは過度なストレスによる高プロラクチン血症です。
強いストレスは様々な病気の引き金となります。
高プロラクチン血症も例外ではなく、ストレスによって自律神経のバランスが乱れプロラクチンの分泌量が正常値を保てなくなります。
治療法
高プロラクチン血症の症状を改善させるためにもストレスコントロールは非常に重要です。
適度な運動はストレスを緩和する効果があるのでオススメです。
ゆっくり半身浴をおこなう、または没頭できる趣味の時間を確保するのも良いでしょう。
自分自身のコンディションを注意深く観察し、定期的に強いストレスを感じていないかチェックする習慣をつけると良いでしょう。
まとめ
高プロラクチン血症は、人によってはそれほど目立った症状、体調の変化を感じません。
生理が毎月来ているような人でも、高プロラクチン血症によって実は排卵が起こっていなかったりするリスクがあることを忘れないでください。
高プロラクチン血症を放置してしまうとなかなか妊娠は難しくなります。
高プロラクチン血症の症状を確認し、いくつか当てはまるような人は一度病院でしっかりとした検査を受けましょう。