不妊治療について
女性の年齢と妊娠確率
女性の体が妊娠に適しているのは、生理の安定する20歳前後から37歳前後までです。
この年齢の女性が排卵の1周期において妊娠できる確率は、約30%となっています。
1年間妊娠に向けて取り組めば、約90%の確率で妊娠することが可能とされています。
一般的に認知されていますが、女性が高齢化するほど妊娠率は下がっていきます。
女性の年齢が35歳で20%弱、40歳では5%まで確率は落ちてしまいます。
近年では女性の年齢だけでなく、男性についても高齢化の影響があることがわかってきています。
卵子と同じように、精子の質が加齢によって落ちてしまうのです。
初期の不妊治療
不妊のカップルは、以前は7組に1組といわれていました。
最近では、社会の変化なども影響して、6組に1組といわれるほど不妊に悩む人が増えています。
不妊の状態とは、夫婦生活を1年以上持っても妊娠できないことをいいます。
女性が高齢でない場合は、一般的にはタイミング法から開始します。
基礎体温を記録したり、検査を受けて排卵日を特定した上で、妊娠しやすい時期に性交をするという周期を繰り返します。
タイミング法においては、効果をより高めるためにクロミッド等の排卵誘発剤を利用することもあります。
クロミッドは副作用も起こりにくく、費用も月500円程度なので負担が少なく始められます。
人工授精(AIH)
不妊治療の成果がなかなか出ない場合や女性が高齢で残された時間が少ない場合は、ステップアップして人工授精(AIH)に取り組みます。
人工授精というと高度な医療というイメージがある人もいるかもしれませんが、実際は自然妊娠にとても近い方法です。
自然妊娠では、膣に射精された精子が卵子との出会いの場である卵管を目指して泳いでいきます。
その途中には、精子にとっての難関である子宮頸管があり、たくさんの精子が死んでしまいます。
人工授精においては、精子を直接子宮に送って妊娠の確率を上げるのです。
人工授精を受けた人は、5回までに妊娠できる確率が90%程度とされています。
それでも妊娠しない場合、体外受精などさらなるステップアップを検討します。
人工授精の過程
人工授精を行う具体的な過程を詳しく見ていきましょう。
自然妊娠に近いというのがわかると思います。
排卵日の特定
基礎体温を記録したり、超音波検査や血液検査などの検査によって排卵日を特定します。
実際に人工授精を行う周期では、排卵誘発剤が使われることもあります。
採精
排卵日の特定ができたら、当日に精子を取り出す採精をしなければいけません。
採精後の精子は、洗浄・濃縮されて子宮に送られるのを待ちます。
採精は、自宅で行う場合と病院で行う場合があります。
人工授精
すべての準備が整ったら、精子を女性の体内に注入します。
所要時間は、数十分程度です。
子宮に送られた精子は、自然妊娠と同じように卵子との出会いの場である卵管を目指して進んでいきます。
人工授精を行った後に気をつけるポイント
人工授精は自然妊娠と比べて、特有の注意点があるわけではありません。
その上で、ポイントを見ていきましょう。
ストレス
人工授精を行った人の心境としては、やはり期待や不安が大きいです。
そのため、ストレスになるほど考えすぎないことが重要です。
ストレスは、妊娠にとっては大きな影響を及ぼす可能性があるためです。
適度にストレスを発散して、快適な生活を心がけましょう。
体の冷え
女性の体の冷えは、さまざまな不調の原因になっていることが考えられます。
妊娠においては、ホルモンのはたらきが大切です。
冷えが原因になって、ホルモンバランスを崩すこともあります。
体が冷えないように気を付けて生活をしましょう。
食事
赤ちゃんへの栄養は、母親から渡ります。
そのため、バランスの取れた食事を心がけるべきです。
妊娠の継続に影響が出てしまうことも考えられます。
飲酒や喫煙
広く認知されていますが、飲酒や喫煙はお腹の子どもに悪影響があります。
妊娠中は絶対にどちらも避けましょう。
運動
健康的な生活には、運動がかかせません。
血行をよくしてくれるため、いい影響が期待できます。
まとめ
人工授精というと、特殊なことをするように感じてしまう人もいます。
しかし、実際は自然妊娠にとても近い方法です。
そのため、人工授精の後の注意点においても特有のものはありません。
健康的な生活を心がけて、快適に過ごしましょう。