黄体機能不全という病気について
黄体機能不全とは
排卵の周期において、卵巣ではホルモンの刺激によって卵胞が育ちます。
十分育った卵胞から卵子が排卵され、黄体化ホルモン(LH)によって卵胞は黄体となります。
黄体は、黄体ホルモン(プロゲステロン)を分泌して妊娠のための準備をします。
この機能を、黄体機能といいます。
黄体機能不全とは、黄体から分泌される黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌が不十分なことで引き起こされます。
黄体ホルモンが十分でない場合は、受精卵を子宮内膜に着床させられないことや、着床したとしても妊娠の状態を維持できないことなどが起こってしまいます。
黄体機能不全の症状
黄体機能不全の症状としては、いくつか挙げられます。
黄体ホルモンが安定的に分泌されないために、子宮内膜がしっかりとつくられません。
生理は、子宮内膜が剥がれ落ちておきますが、黄体機能不全の場合は、通常よりも早く生理が始まることがあります。
生理が不順になる要因となるのです。
黄体機能不全の原因
卵胞刺激ホルモン(FSH)の減少
卵胞刺激ホルモン(FSH)が少なくなると、卵胞がしっかりと育ちません。
卵胞がしっかり育たないと、卵子の質も悪くなります。
そして、黄体機能不全にも影響してしまうのです。
黄体化ホルモン(LH)の減少
FSHによって卵胞が育って、大きくなります。
その後に、黄体化ホルモン(LH)が多く分泌すされ、排卵が促されます。
この黄体化ホルモンが多く分泌されることを、LHサージといいます。
黄体化ホルモンがあまり分泌されない場合、LHサージが不十分なことがあります。
その結果、黄体機能不全になってしまいます。
子宮内膜の感受性の低下
黄体ホルモンが分泌されているにも関わらず、子宮内膜の感受性が低く子宮内膜がつくられないことがあります。
子宮内膜が薄いままの場合、受精卵は着床できず妊娠が成立しません。
ホルモンの分泌を妨げる疾患
卵胞発育不全や高プロラクチン血症などの、卵巣の異常を起こす疾患が黄体機能不全の原因になることもあります。
卵胞が黄体になる際に、不完全な変化になってしまいます。
このようなことが起こる理由は、詳しくわかっていません。
黄体機能不全の検査
基礎体温
女性の基礎体温の記録から、黄体機能不全かどうかの兆候を掴むことができます。
人により高温期が安定しないことや、期間が短かったり長かったりするため、さまざまなことが予想できます。
採血検査
採血検査によって、ホルモンの値を調べます。
特に重要なのが、黄体ホルモン(プロゲステロン)です。
黄体機能不全は、黄体ホルモンの減少によって起こるためです。
排卵日から、1週間前後に行われます。
子宮内膜日付診
高温期の途中で、子宮内膜の一部を取り出して検査します。
子宮内膜の細胞を調べることで、問題がないかを確認します。
超音波検査
卵胞は、超音波検査によって調べることができます。
超音波検査は、卵巣脳腫や子宮筋腫の検査も行われます。
まとめ
排卵後の卵胞が、黄体に変化して黄体ホルモン(プロゲステロン)を分泌します。
このことを黄体機能といいます。
黄体機能不全は黄体機能が正常にはたらきません。
黄体機能は、子宮内膜をしっかりつくって、受精卵のためにふかふかのベッドを用意します。
しかし、黄体機能不全の場合、子宮内膜が薄くなってしまいます。
そのため、着床がうまくできずに、妊娠が成立しません。
黄体機能不全を引き起こす原因としては、ホルモンの異常、子宮内膜の感受性の低下などさまざまです。
基礎体温に異常がある場合は、専門の医師に相談しましょう。
検査を受けて、黄体機能不全と診断されれば、治療で状態をよくできるかもしれません。