妊娠初期の出血について
妊娠初期の出血は、よくあることです。
驚いてしまう人もいると思いますが、しっかりとした知識を身に着けて正しく対応できるようにしましょう。
妊娠初期に出血があった人でも、多くの人は無事に出産できています。
ただし、中には重大な問題の兆候ということもあり得ます。
自分での判断には限界があります。
妊娠初期での出血があった場合、かならず専門の医師に相談したほうが良いでしょう。
その時に、判断のポイントとなるのが、妊娠週数、いつ出血が始まったか、痛みはあるか、血の色や量はどうかなどです。
具体的に、どのようなものが原因としてあるのか詳しく見ていきましょう。
あまり問題がない出血
着床出血(月経様出血)
着床出血は、妊娠3〜4週間で起こる可能性があります。
着床出血とは正式な名前ではなく、医学用語では月経様出血といいます。
卵管で精子と卵子が受精して受精卵となり、子宮に流れ着いて着床します。
着床は、子宮で受精卵が母体と繋がることです。
受精卵の絨毛というものが、子宮に根を下ろす時に子宮壁の一部を溶かします。
その時に、血管を溶かして出血が起こることを着床出血というのです。
50人に1人程度の確率で起こるので、ほとんどの人には起きません。
絨毛膜下血腫
絨毛膜下血腫は、妊娠5〜20週にかけて起こりやすいです。
切迫流産の症状の一つに数えられます。
流産と聞くと驚いてしまう人がいるかもしれませんが、切迫流産とは流産しかけている状態のことをいいます。
着床出血があることからわかるように、絨毛が母体と繋がる時に出血は起こり得ます。
血の塊のことを血腫といいます。
そして絨毛膜下血腫は、その名の通り絨毛膜下に血腫ができてしまった状態のことです。
血腫が大きい場合、入院になることもあります。
ほとんどの場合、安静にしていることがもっとも重要です。
子宮膣部びらん
子宮頚部びらんでの出血が起こりやすい時期は、妊娠4〜15週間です。
子宮頚部びらんは、病気ではなく子宮頚部の状態のことです。
子宮頚部は子宮の入口のことで、びらんとはただれていることをいいます。
そもそもこの状態は、出血が起こりやすくなっています。
症状が重い場合は手術をすることもありますが、基本的には治療は必要ありません。
子宮頸管ポリープ
子宮頚部ポリープでの出血が起こりやすい時期は、妊娠4〜15週間です。
子宮の入り口に良性の腫瘍であるポリープができることによって、出血が起こることがあります。
ポリープの大きさは、一般的には数mm程度ですが、3cmほどになることもあります。
痛みなどはない場合が多いです。
炎症の原因となり感染症を引き起こす可能性があるため、妊娠中でも取り除くことがあります。
問題がある出血
子宮外妊娠(異所性妊娠)
子宮外妊娠での出血が起こりやすい時期は、妊娠4〜11週間です。
子宮外妊娠は、子宮の適切な場所以外で着床してしまうことです。
ほとんどの子宮外妊娠は、卵管で起こります。
卵管が破裂してしまうと、命に関わる危険があります。
子宮外妊娠になってしまった場合、残念ながら赤ちゃんは諦めざるを得ません。
胞状奇胎
胞状奇胎での出血が起こりやすい時期は、妊娠4〜11週間です。
着床した受精卵は、胎児になる胎芽細胞と胎盤などになる絨毛細胞をつくっていきます。
その時に、絨毛細胞が異常に増えてしまう病気が胞状奇胎です。
絨毛がんになってしまう可能性のある、とても重大なリスクです。
胞状奇胎になってしまったほとんどの場合で、妊娠の継続は難しくなります。
まとめ
妊娠中に出血があると、とても驚いてしまうことでしょう。
出血の原因には、問題ない場合も多いので心配しすぎることはありません。
しかし、重大なリスクの兆候ということもあります。
妊娠初期において出血を確認したら、すぐにかかりつけの産婦人科医に相談するようにしましょう。