子宮内膜症の概要
子宮内膜症という病気について
子宮内膜症は、近年とても患者が増えている女性の病気です。
20代から30代の人に多く、治療を受けていない人を含めると200万人にもなると予想されています。
本来は子宮の内側にできる膜が、子宮外にできてしまい、さまざまな症状を引き起こします。
不妊症とも深い関係があり、不妊の検査を受けてみて判明するということも多いです。
不妊につながる理由としては、卵管の閉塞があります。
精子と卵子の出会いの場である卵管を塞いでしまうので、受精ができずに不妊になってしまうのです。
また、卵管が塞がっていなくても、子宮内膜症の組織自体が受精しにくくされるともいわれています。
子宮内膜症の症状について
生理痛
子宮内膜症に気付くきっかけとして多いのが生理痛です。
寝込んでしまうほどの痛みや、痛み止めが効かないほど生理痛がある人もいるようです。
子宮内膜症では、何度も生理を繰り返すたびに、痛みが増していくという特徴もあります。
慢性的な腹痛、腰痛、性交痛
子宮内膜症では、慢性的な腹痛、腰痛、性交痛などが出ることがあります。
組織のできる場所によって、痛む箇所は変わってきます。
月経時以外で下腹部に痛みがあるのであれば、子宮内膜症の疑いは強くなります。
経血が多い
子宮内膜症では、経血の量がいつもより多くなることがあります。
レバー状の血の塊が出ることもあるようです。
子宮内膜症の検査・診断
問診
まず、子宮内膜症の症状があるかどうかを、問診していきます。
月経痛についてや、下腹部の痛みがあるような場合、疑いありとなって次の内診をすることになります。
内診
内診では、子宮のうしろにしこりがないか、押してみて痛みはないか、卵巣がはれていないかなどを調べます。
病気が進んでいる場合、月経のときだけでなく、慢性的な下腹部の痛みを感じることがあるため、くわしく内診をします。
超音波検査
子宮内膜症では、剥がれ落ちた組織が固まってチョコレート嚢胞といわれるものができることがあります。
超音波検査では、そういったものを診断することができます。
卵巣のはれ具合も確認することができます。
MRI検査
MRI検査は、体を輪切りにしたような画像を撮影します。
この検査においても、チョコレート嚢胞などをみつけることができます。
超音波検査やMRI検査を行った段階で、子宮内膜症はほぼ確定できるようです。
血液検査
血液中のCA-125という物質の値を調べます。
子宮内膜症の人の中でも、CA-125の値が高くならないこともあります。
そのため、CA-125が高くなっている場合、症状が進んでいると判断します。
この検査だけで診断するものではなく、補助的に行う検査です。
腹腔鏡検査
腹腔鏡検査では、へその下から内視鏡を入れて直接お腹の中を確認します。
直接見て診察することができるので、最も確実な検査方法です。
しかし、全身麻酔が必要で体への負荷が大きいです。
腹腔鏡検査を行う場合は、ほぼ子宮内膜症が確定していて、症状が進行していることが予想される時です。
検査といっても、直接子宮内膜症の組織を取り除くことができる方法です。
まとめ
酷い生理痛や慢性的な下腹部の痛みがある場合、子宮内膜症の疑いがあります。
生理の時に動けなくなってしまうのであれば、一度産婦人科を受診した方がいいでしょう。
子宮内膜症の検査や診察については、問診・内診から行います。
該当する症状がある場合は、より詳しく超音波検査やMRI検査を実施します。
症状がかなり進んでいることがわかっているのであれば、最も確実で治療も兼ねることができる腹腔鏡検査を行うこともあります。
まず、少しでも該当の症状がある人は、病院で検査を受けてみましょう。