子宮内膜症について
子宮内膜とは
子宮内膜症を理解するためには、まず子宮内膜について知る必要があります。
子宮内膜とは、生理の周期において子宮の内側につくられる膜です。
受精卵の着床に備えて、排卵の時期に厚く張られます。
赤ちゃんのためのベッドとよく例えられます。
子宮内膜が不十分な場合、妊娠の可能性は低くなってしまいます。
着床において、とても重要なはたらきをしているためです。
着床がなく妊娠が成立しない場合、子宮内膜は剥がれ落ちて膣から排出されます。
これが、月経の時に女性の体内で起こっていることです。
このように、周期的に厚くなったり排出されることを繰り返して、妊娠するのを待っています。
子宮内膜症とは
子宮内膜症は、子宮内膜が子宮以外の不適切な場所にできてしまう病気です。
子宮以外の場所にできて、時期が来れば剥がれ落ちます。
しかし、排出される出口がない状態なので、剥がれ落ちて行き場のない膜は体内に溜まっていきます。
その残りが固まって、チョコレート嚢胞とよばれるものをつくったり、臓器をくっつけてしまう癒着を起こしてしまうのです。
チョコレート嚢胞は、剥がれ落ちた膜が固まって、チョコレートのようになることから、そういわれています。
子宮内膜症の症状は、主に月経痛があります。
通常の生理痛よりも、痛みが激しい月経が続いているようなら子宮内膜症の疑いがあります。
子宮内膜症になる人
子宮内膜症になる人は、近年とても増えています。
初潮の年齢が低くなっていることと、閉経の年齢が遅くなっていることが関係しているようです。
また、社会の変化によって起きている晩婚化や出産の高齢化が影響を与えている面もあります。
妊娠が成立すると、子宮内膜をつくる必要がないため、子宮内膜症をリセットするいい機会となります。
しかし、妊娠がなかなか起きないので、子宮内膜症の症状が長引いてしまいます。
子宮内膜症が妊娠に与える影響
不妊治療における子宮内膜症
子宮内膜症で不妊になってしまう理由はいくつかあります。
まず、1つ目には癒着です。
子宮内膜症では、子宮外にできた内膜に似た組織が剥がれる時に炎症を起こします。
炎症を修復する時に、近くの臓器などとくっついてしまいます。
卵管が癒着を起こしてしまう場合、精子と卵子が受精できなくなってしまいます。
2つ目は、子宮内膜症の組織が出す受精障害を引き起こす物質です。
受精をしにくくするため、不妊になってしまいます。
子宮内膜症のメカニズムは、まだわからない部分が多いです。
そのため、上の2つ以外にも、不妊に繋がることがあるのかもしれません。
不妊になる人の中で、原因不明のケースがあります。
そうした、原因がわからない不妊には、子宮内膜症との関係が予想されています。
不妊とは密接に関わっているため、早めの治療が望ましいです。
治療法
子宮内膜症の治療は、鎮痛剤やホルモン剤によって行います。
症状がひどい場合、開腹手術や腹腔鏡手術を行います。
腹腔鏡手術では、体内で癒着を起こしている箇所を剥がしてたり、子宮内膜症の組織をレーザーなどで焼きます。
まとめ
不妊治療を受ける人の中でも、子宮内膜症の人は多くいます。
不妊とはとても密接な関わりのある病気なのです。
特に、卵管で癒着を起こしている場合があるので、注意が必要です。
早めの治療を開始するためにも、生理痛がひどい人は、一度産婦人科を受診することをお勧めします。