体外受精は具体的にどう行うの?

体外受精と聞いても、馴染みのない方にはすぐには想像がつかないでしょう。
この記事では、体外受精における一通りの手順を具体的に見ていきます。
また、肝となる受精卵を子宮に戻すタイミングについても説明していきます。

体外受精の手順について

ホルモン剤を投与

不妊治療では様々な検査を受けて、妊娠について関係のある数値を調べます。
体外受精のはじめの段階では、検査の結果によって排卵誘発剤の種類を決めます。
その後、注射や内服薬によって卵胞を大きくします。

卵子を取り出す

卵法が16mm〜20mmまで大きくなったら、卵子の成熟を促す薬を使います。
約1日半後に排卵直後の卵子を取り出します。
卵胞数によって鎮痛剤のみの使用か、麻酔を使うかを決めます。
ホルモン剤を使わない場合は、取り出せる卵胞はだいたい1つです。
ホルモン剤を使う場合は、多い人で20個もの卵胞を取り出せます。

精子と卵子を合わせて受精卵にする

同じ日に男性から精子をとります。
とられた精子を卵子と合わせて授精をさせます。

受精の方法は二つあります。
一つ目は、器具の中に精子と卵子を入れて受精するのを待つ方法です。
二つ目は、人工的に一つの精子を卵子の中に入れる方法です。
人工的に行う場合というのは、精子の状態が良くない時や、受精障害がある時です。

次の日になると、受精したかどうかがわかります。
うまく受精できていれば、受精卵となります。

受精卵を子宮に戻す

受精卵になったら、もう一度子宮の中に戻します。
戻すタイミングは、受精してから2〜5日後に戻すか、一度凍結してから受精卵が育ちやすい環境を待ってから戻します。
子宮に戻された受精卵がうまく育ってくれれば、妊娠が成立したことになります。
受精卵はうまく育っていかないこともあるので、戻した後も確実に妊娠できるとは限りません。

こういったうまくいかないケースはしばしばあるので、あまり深く考えすぎず、落ち込まないようにすることが大切です。
原因はさまざまで、現代の医療技術でも全てを解明できていないのが実情です。
うまくいったら幸運だと思って取り組めたら気が楽になるかもしれません。

受精卵を戻すタイミングについて

上でも説明しましたが、受精卵を戻すタイミングには二通りあります。
2〜5日後に戻す場合と凍結保存をしておいてタイミングをみて戻す場合です。
日本では凍結保存の技術が優れているので、二つ目の液体窒素で一度凍結させてから戻すパターンが多いです。
その理由は単純で、成功率が高いからです。

凍結させておけば、着床しやすい環境をつくって受精卵を戻すことが出来ます。
例えば、次の生理の周期からホルモン剤を使わずに、自然に排卵を起こしてからだと環境がよくなる場合があります。
他にも、ホルモン剤を使って環境を整えることもできます。
結果的に、着床しやすいホルモンの状態と子宮内の環境を用意して受精卵を融解して子宮に戻します。

卵子を取り出した直後に受精卵を戻すことが好ましくない理由は、卵巣が腫れて大きくなっていたりするからです。
凍結させておけば、適していないホルモンバランスが回復してから受精卵を戻すことが出来るのです。
海外の事例では、敬虔なカトリック教徒は教義に反してしまうためできないこともあるようです。
現在では、凍結保存をする方法が一般的になっています。