出生前診断とは?
出生前診断とは、赤ちゃんがまだお腹にいる段階で、先天性の病気、奇形、染色体異常といった問題を抱えていないかを検査によって診断することです。
高齢での出産となる方や、家系の遺伝的に高いリスクがある際などに用いられることが多くなっています。
倫理的な問題があることは否定できませんが、これから出産を控えていたり、将来的に子供を授かりたいと思っている人は然るべき知識を身につけておいた方が良いでしょう。
出生前診断の流れ
出生前診断の大まかな流れは、本格的な検査に入る前にスクリーニング検査と呼ばれる手法で超音波検査や、血液検査を行います。
スクリーニング検査をしてみた結果、一定のリスクがあると判断された際に、より高度な検査を勧められます。
出生前診断を受けられる時期
出生前診断には比較的簡単に受けられるスクリーニング検査や、より高度な検査があるわけですが基本的には全て妊娠初期に受けるものになります。
多くは妊娠10週〜15週頃に受けなければならないものになりますので、何かしら不安のある人に関してはできるだけ早い段階でパートナー、医師、カウンセラーに相談するようにしましょう。
法律によって人工妊娠中絶が許可されているのは妊娠21週までとされています。
検査を受けてから、検査結果が出るまでは一定の日数を必要とすることからも逆算すると妊娠17週を過ぎてからでは検査を受けられないケースも出てきます。
出生前診断の検査手法
スクリーニング検査
超音波検査
膣または、腹部から超音波を発信する器具をおしあてて、胎児に異常がみられないかを確認します。
胎児の頸部にむくんでいるところはないか、鼻骨が順調に成長しているかといった点を中心に検査します。
費用:およそ2万〜5万円
検査時期:およそ妊娠11週~13週
母体血清マーカーテスト
母親の血液を採取し、胎児の体の中で生成されるホルモンの値を確認します。
こちらの血液検査で陽性の結果が出ると、より高度な検査を受けるか否かの意思決定をせまられます。
費用:およそ1万〜2万円
検査時期:およそ妊娠15~21週
NIPT 新型出生前診断
こちらも母体の血液を採取する検査です。
採取された血液から、胎児の染色体異常のリスクを診断します。
仮にリスクがあるということであれば、母体血清マーカーテスト同様、より高度な検査を勧められれます。
費用:およそ20万円
検査時期:およそ妊娠10週~18週
高度な出生前診断検査
スクリーニング検査を受けた結果、胎児にある一定以上のリスクがあると診断された場合、より高度な出生前診断を勧められます。
高度な出生前診断となると有名なものは大きく以下の二つとなります。
絨毛検査
絨毛とはお腹の中の胎児と母体をつなぐ胎盤の一部です。
絨毛を母体から採取し、検査することで遺伝子異常や染色体異常といった病気を診断することが可能です。
検査後、わずかではありますが流産に繋がってしまうリスクもありますので、しっかり事前に専門医とリスク面についても確認を行っておきましょう。
費用:およそ15万円
検査時期:およそ妊娠9週~11週
羊水検査
母体のお腹に針を刺して、羊水を採取する検査です。
採取された羊水の成分から遺伝子構造に問題がないか確認を行います。
羊水検査を行ったことがきっかけで流産に繋がってしまう可能性は0.3%程度とされています。
命の尊さを考えると決して小さい数字ではありませんのでしっかりパートナーと相談し、医師からしかるべき説明を聞いた上で検査を受けるべきか判断しましょう。
費用:およそ12~15万円
検査時期:およそ妊娠15週~18週
出生前診断検査で分かること、分からないこと
出生前診断に関して良くある誤解は、検査を受けることによって障害の有無が完全に判別できると勘違いしている人が多くいます。
出生前診断は現代医療の進歩とともに判別できる障害のバリエーションであったり、障害が疑われる可能性の精度という観点で大きく向上してきています。
しかし、現段階で全ての障害を判別できるわけではありませんし、診断によっては障害のある疑いが90%ありますといった形での結果を通達されることもあります。
出生前診断検査って受けるべき?
出生前診断に関しては、国の法律によって認められてはいるものの倫理的な観点から受けるべきか受けないべきか非常に難しい問題となります。
出生前診断を受ける理由は、大きくは以下の二つです。
・妊娠の継続可否を判断するために受ける
・妊娠の継続を前提とし、然るべき準備をするために受ける
出生前診断の結果、お腹の中の子供に障害の疑いがあると判断されたケースではおよそ90%の人が妊娠の継続を断念し中絶という選択肢をとられているようです。
出生前診断を受けるべきかどうかの判断基準に正解はありません。
強いて言うなら、当事者であるカップル間で納得のいくまで話し合いを重ねた上で慎重に判断するべきということです。
障害を持った子供がいても人一倍幸せな家族もあれば、そうでない家族もあるのが現実です。
非常に重要な決断となりますので、然るべき情報を収集した上で検討しましょう。
最近では、実際に出生前診断を受けた人、障害を持った子供を育てている人によるブログなどを参考情報とされるケースが多いようです。
母体の年齢と障害を持った子供が生まれてくる関係性
お腹の中の赤ちゃんが障害を持って生まれてくる確率は、女性の年齢の影響を受けるとされています。
女性の年齢が高齢になるにつれて卵子自体が老化していくことが大きな原因と考えられています。
女性は産まれた瞬間から一生分の卵子の素を持って産まれてきます。
産まれた後から新たに卵子の素が体内にて生成されることはありません。
つまり、出生後ある一定の年齢を過ぎると卵子の老化進みどうしても障害を持った子供が産まれる可能性が高くなってしまうのです。
染色体異常による障害という観点では、約8割が母親由来、約2割が父親由来との報告があります。
ダウン症の発症率に関して以下のようなデータもあります。
25歳:0.1%未満
30歳:約0.1%
40歳:約1%
まとめ
出生前診断に関しては、倫理的な問題もはらんでいるが故に非常に難しい判断となります。
カップルによっては、出生前診断を妊娠の継続有無の判断に用いるのではなく、しかるべき心の準備をしておくために出生前診断を受けるといった人もいます。
いずれにしましても、出生前診断を受けられる時期的な制限があることからも少しでも不安のある人はできるだけ早めに情報収集をし納得出来る決断ができるように準備を進めましょう。
最近では、出生前診断を受けるべきか迷っているカップル向けのカウンセラーサービスもあります。
自分達だけで思い悩まず、家族、友人、カウンセラーに相談してみるのも良いでしょう。