精液検査って本当に必要?費用は?どこで精液採取するの?

最近の研究結果より、不妊の原因の約半分は男性にあることが明らかになりました。
この記事では男性の不妊原因を確かめる精液検査の必要性、プロセス、費用、検査結果のとらえ方について分かりやすく解説します。

精液検査とは

マスターべションにて採取された新鮮な精液を顕微鏡で観察する検査です。
精液検査の際に観察するポイントは以下6ポイントとなります。

精液の色

精液の色は個人差がありますが、一般的には「白濁色・黄白色」とされています。
禁欲していないにも関わらず、黄色が強かったり、赤みが見られる場合は、前立腺や精囊の炎症が疑われます。

精液の量

1回あたりの平均的な射精量は2ml〜10mlと人によって大きな差異が見られます。
1.5ml以下となると自然妊娠が難しくなるとされています。
1.5mlは小さなティースプーン1杯分よりも気持ち少ないくらいの量です。

精子の濃度

精液検査の中で、最も重要視される項目となります。
一般的に健康な男性では1mlの精液の中に、6千万〜1億個程度の精子がいます。
1mlあたりの精子数が1500万個以下の場合は「乏精子症(ぼうせいししょう)」と言われ不妊の原因とされています。
1500万個も精子がいるのであれば十分な印象を受けますが、実態はそうでもないようです。
また、人によっては精液検査してみた結果、精子が全くいないことが判明することもあり、このような症状を「無精子症」と呼びます。

精子の運動率

精子の濃度の次に重要視されている項目となります。
健康な男性の精子の運動率は約50%〜80%とされています。
運動率というのは、精子が卵子と受精するのに十分な運動をしている精子の割合となります。
運動率が40%未満、あるいは高速で直進している精子の割合が32%未満の場合は「精子無力症」の疑いが強くなり、こちらもまた不妊の原因とされています。

精子の奇形率

精子の中には、形が異常な精子が一定数含まれています。
精子の頭部に変形が見られたり、小さすぎたり、尾部が短すぎたりします。
精子の奇形は、誰しもの精液に少なからず含まれているものになりますので、精子の奇形が見られたからといって異常なことではありません。重要なのは、奇形の割合です。
正常な精子の割合が15%以下となってくると、不妊の原因になり得ると言われています。

白血球の量

精液内に白血球の数が多い場合は、前立腺や精囊腺の炎症の疑いが強まります。
白血球の数が多いということは、精液内に菌がいることが疑われるからです。

精液検査を受ける必要性

日本産婦人科学会では、妊娠をのぞみセックスをしているにも関わらず1年以上子供を授からない状態を不妊と定義しています。
不妊の原因は各カップルによって様々ですが、原因の約半分は男性側にあるとされています。
不妊原因の約半分に関する疑いが、簡単な精液検査を受けることによって明らかになることを考えると非常に効果的な検査と言えます。

精液はどこで採取するの?

精液は自宅で採取したものを病院に持参するか、病院で採取するかのどちらかになります。

自宅で採取する場合

病院でもらった専用の容器に射精します。
射精後の精液は人肌程度に温めて病院に持ち込む必要があります。
また、直射日光を避ける必要があることから容器をアルミホイルなどに包んで持って行くと良いでしょう。
加えて重要なのは精子の鮮度です。射精後2時間以内に病院に持ち込む必要があります。

病院で採取する場合

病院によっては、男性が精液を採取するための専用部屋を設けています。
部屋の呼び名は、採精室と呼ばれたり、メンズルームと呼ばれたりしています。
病院によって、部屋の大きさや、置いてあるものは様々ですが、マスターベーションをサポートする本やビデオが置いてあることが多いようです。

精液は自宅と病院、どちらで採取すべき?

状態の良い精液を採取することが正確な検査結果につながってくることからも、一般的には病院での精液採取がより望ましいとされています。
ただし、人によっては病院でマスターベーションをすることに心理的なストレスを感じ、なかなかうまく精液を採取できないこともあります。
精液採取後の時間、温度、直射日光を避ける等、病院から伝えられる注意事項を守れるということであれば自宅での採取も問題ありません。

禁欲した後で、精液検査を行うって本当?

本当です。
禁欲期間が短すぎると精子の量や濃度が十分なものにならないと考えられています。
また禁欲期間が長すぎると、今度は精子の運動率が低下してしまうとされています。
2日〜3日程度禁欲したのちに、マスターベーションをして採取することが望ましいとされています。

精液検査で悪い結果が出たけど、どうしたらいいの?

精子の数や、運動率は精液検査当日の体調によって大きく異なります。
特に、風邪をひいていたり、睡眠不足、疲労の蓄積があると悪い結果が出やすくなります。
一度精液検査結果が悪かったからといって精子に問題があると早々に決めつけず、再度日を改めて検査してみるといいでしょう。
複数回悪い結果が続いて出たということであれば専門医の指示に従いましょう。

精液検査の費用はいくらぐらい?

精液検査の費用は、検査内容により保険適用可否が異なってきます。
精子数や運動率のチェックといった基本的な精液検査であれば保険の適用となり、自己負担額としては1,000円くらいで精液検査を受けることが可能です。
一方で、より精密な精液検査となると保険適用外となることもあり5,000円~20,000円前後の費用が必要となってきます。

まとめ

男性の不妊治療における性液検査は女性と比べて大きな手間もかからず、体への負担もさほど大きくありません。
不妊で悩んでいるのであれば、パートナーの女性のためにも、なるべく早めの精液検査を検討されてみてはいかがでしょうか。