黄体機能不全とはどのような疾患なのか
黄体機能不全について
排卵の周期において、まず卵巣ではホルモンの刺激によって卵胞が育ちます。
十分育った卵胞から卵子が排卵され、黄体化ホルモン(LH)によって卵胞は黄体となります。
黄体は、黄体ホルモン(プロゲステロン)を分泌して妊娠のための準備をします。
この機能を、黄体機能といいます。
黄体機能不全とは、黄体から分泌されるプロゲステロンの分泌が不十分なことで引き起こされます。
プロゲステロンが十分でない場合は、受精卵を子宮内膜に着床させられないことや、着床したとしても妊娠の状態を維持できないことなどが起こってしまいます。
黄体機能不全の原因
黄体機能不全を引き起こす原因は、人によってさまざまです。
大きく分けると3つに分類されます。
ホルモンの異常
卵胞刺激ホルモン(FSH)の異常によって、卵胞が十分に育たないことなどがあります。
また、黄体化ホルモンの異常では、卵胞が黄体に変わる際にうまくいかないこともあります。
子宮内膜の感受性異常
プロゲステロンは正常に分泌されていても、子宮内膜が正常につくられないことがあります。
プロゲステロンに反応しないため、子宮内膜が正常につくらません。
ホルモンに影響する疾患
卵胞発育不全や高プロラクチン血症などによって、ホルモンが正常にはたらかないことがあります。
病気の症状から、ホルモンの分泌に影響してしまうのです。
黄体機能不全の症状
黄体機能不全は、その名前が表す通りで黄体が正常にはたらかないことです。
症状は人それぞれで、いくつか挙げられます。
まず、黄体のはたらきとして重要なプロゲステロンの分泌が安定的に行われません。
正常に分泌されない場合に、子宮内膜は十分つくられないといったことが起こります。
そういったことが影響して、自覚症状としても現れることもあります。
以下に詳しく見ていきましょう。
不正出血
生理のタイミングではない時に、出血があることがあります。
黄体機能不全により、プロゲステロンが正常に分泌されないため、子宮内膜を保つことができません。
途中で子宮内膜が剥がれ落ちて出血してしまうのです。
生理不順
正常な生理は、排卵から14日程度で子宮内膜が剥がれ落ちて起きます。
着床がなく、次の排卵に向けて子宮をリセットするためです。
黄体機能不全になっていると、この期間が安定せずに生理不順が起きます。
排卵から10日もしないうちに整理になるようであれば、黄体機能不全の可能性が高いです。
着床障害
子宮内膜が薄くなっていると、着床がしにくくなります。
着床障害が引き起こされ、不妊症や不育症になってしまいます。
黄体機能不全の検査
基礎体温の計測
基礎体温の測定によって、ある程度は黄体機能不全の判断をすることができます。
数カ月分の記録を取り、専門の医師による判断を仰ぎましょう。
採血検査
採血検査によって、黄体ホルモン(プロゲステロン)が正常値かどうかを調べます。
黄体機能不全は、プロゲステロンの減少によって起こるのためです。
検査を行うのは、排卵日から1週間前後です。
子宮内膜日付診
黄体機能不全で影響の出るのが子宮内膜です。
そのため高温期の真ん中の時期に、子宮内膜の細胞を少し取り出して検査をします。
この検査で、子宮内膜の厚さに問題がないかを確認します。
まとめ
通常は排卵後の卵胞は、黄体化ホルモンによって黄体に変化します。
黄体は、黄体ホルモン(プロゲステロン)を分泌します。
黄体機能不全になってしまうと、プロゲステロンが正常に分泌されないため、子宮内膜が薄くなるなどが起きます。
黄体機能不全の症状は、生理の不順や生理のタイミングではない時に出血があることです。
着床もしにくくなるため、不妊症や不育症になってしまう人もいます。
疑わし症状があるのであれば、専門の医師に相談しましょう。
また、基礎体温をしっかり付けておくと、判断材料になるので、妊娠を望むのであれば測定と記録をしてみましょう。
病院で診察を受けるときも、基礎体温の情報はとても役に立ちます。